お金をかけなくてもグーグル営業で精鋭部隊を作れる

私は以前、博報堂に勤めており、頻繁に調査やリサーチを行っていました。例えば、アサヒのスーパードライを飲んだ人を街頭でっかまえて感知加を聞くとしたら、100人に話を開くためには100時間ぐらい費やさなければなりません。とても社員だけでは手が回らないので、リサーチ会社に頼むことになります。

6人ぐらいをリサーチ会場に集めて2時間ほどグループインタビューを行うだけでも、150万円ほどのコストがかかります。いずれにせよ、直接人から意見を聞く方法は一番精度が高いけれども、一番時間もコストもかかる方法なのです。大企業だから取り組めることであって、中小企業には無理な話です。

中小企業が謝査やリサーチに利用できるのは、ホームページ、そして営業マンです。営業マンの仕事を、ものを売り歩くだけだと思っているのなら、まさに「宝の持ち腐れ」です。営業マンは、毎日顧客と顔を合わせて話をしています。その際に、セールスだけに集中するのではなく、顧客から情報を集めるというリサーチも同時にするべきなのです。

集める情報のうち最も大切なのが、顧客の購買決定プロセスです。その顧客がどういうニーズを持っていたのか、どのように業者を探したのか、グーグルで検索して当社のホームページを見つけたのなら、どんなキーワードで調べたのか、といった点を開き出します。グーグル・アナリティクスを使えばその顧客が検索したキーワードは分かりますが、実際に会って話をしていると、ズレがあることもあります。

例えば「人事評価」というキーワードで検索して、人事評価ソフトの申し込みをした顧客と会ったとき、「うちは人事管理の体制が整っていなくて」という言葉が出てきたとします。この場合、人の評価をしたいのか、管理をしたいのかというズレがあるわけです。たいていは、無意識に使っている言葉の中に深層心理が表れているものです。「人事管理の体制を整えたい」というニーズがあったのですが、インターネットで「人事」と入力して検索すると「人事評価」という代表的なキーワード例が出てくるので、そこからたどり着いたホームページで製品を選んでしまう、という例もあるわけです。

そのズレをなくすためにも、直接顧客から検索キーワードを聞くのは大切なポイントです。聞き出したキーワードをホームページの見出しなどに加えると、そのキーワードで検索してホームページにたどり着く顧客がまた増えるかもしれません。

中小企業は、そのように営業マンとwebマーケティングを駆使して、顧客から情報を集めるしかないでしょう。前述したグーグルの機能は登録すれば無料で利用できますし、自社の営業マンを育てるにはそれほどコストはかかりません。

テレマーケティングの会社に外注しなくても、ホームページの制作会社に頼まなくても、売れるホームページの作成から契約の成立までを、すべて自社だけでできる。それがグーグル営業の最大のメリットでもあります。

工藤龍矢書籍『グーグル営業』より抜粋

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