ターゲット選定の3ステップ
USPを確立できたら、鉄アレイモデルの要素の1つである、「ターゲット」 に目を向ます。ターゲットの選定においては、自社商品を売る市場を、どこに絞り込むのかということを決める作業が必要です。自社のUSPを聴いた瞬間、「それを売ってください」とすぐに買ってくれる顧客がターゲットになりますが、ターゲットはゼロから採さなくても、実は身近にいます。既存顧客はすでに獲得したターゲットであり、潜在顧客を獲得するための情報をたくさん持っているのです。
まずは、すでに自社の商品を購入している顧客のリストを作成して、細かい情報まで入れたデータベースを作ります。そして、そのデータベースをもとに、「デモグラフィック属性」(基本的属性)と「サイコグラフィック属性」(感情心理属性)で分類します。
デモグラフィック属性はマーケティング調査で使われる分類方法です。顧客の業種業界、売り上げ規模、エリア、資本金、従業員数、上場未上場などによって分類します。サイコグラフィック属性は、顧客の価値観、
趣味、思考、生き方、好き嫌い、ライ7スタイル、欲求、ニーズ、悩み、不安、課題など、性格や考え方に焦点を当てて分類する方法です。現代は価値観が多様化しているので、客観的な事実だけで分類しても潜在顧客を絞り込むことはできません。
分類ができたら、第2ステップとして、自社商品を買ってくれたきっかけ、タイミングを調査します。「決算月で予算が余ったから」「新入社員が入社したから」「他社との契約が切れたから」など、さまざまなきっかけやタイミングがありますが、ニーズがあり、それを後押しする何かがあって買ったはずですから、それを分析しておくことが大切です。
第3ステップでは、自社から見た、「付き合いたくない顧客」と「理想的な顧客」との分類をします。
もちろん、商品を買ってもらえるのはありがたいのですが、値引きばかり要求する顧客、クレームばかりいう顧客、自分の都合ばかりで急なスケジュールを押しつけてくる顧客などの担当となったら誰でも困るでしょう。できれば付き合いたくない顧客を洗い出すことで、逆に理想的な顧客を絞り込めます。ただし、これはUSPを考えるときの参考にする程度で、実際に付き合いたくない顧客を排除するというわけではありません。注意しましょう。
3ステップを踏んでターゲットの選定をすると、自社がどちらの方向を向いて営業をすべきなのか、明確にすることができます。
例えば、シニア留学のことを調べたい人が、グーグル検索で「シニア留学」 というキーワードを入力したとします。留学を斡旋する企業のホームページがヒットして、「シニア留学」をメインで紹介しているページがまず出てきますが、詳しい情報を見ょうとすると「親子留学・子供留学」のページへ行ってしまうような構成では不親切です。
ユーザーの側としては、シニア留学について、もっと調べたくて丹念に見ているのに、煙に巻かれたような印象を受け、多分コンバージョンにはつながらないでしょう。このように、ターゲットが絞りきれていないと、ユーザーから見て満足いく情報を与えることができないだけでなく、会社にとっても、無駄なページを作ったり、余分なコストをかけたりすることになってしまいます。
ターゲットを絞るのは、効率よくコンバージョンを得るために重要なステップなのです。
工藤龍矢書籍『グーグル営業』より抜粋