AISASのレベルごとに顧客のニーズは違う

1章でもお話ししましたが、webマーケティングの世界では顧客が商品やサービスを購入するときの行動パターンはAISASというモデルを使って分析するのが、1つの定番になっています。

AISASはAttention(注意喚起)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(購買)、Share(共有)の頭文字をつなげたもので、ターゲットとなる顧客がどんな買い方をしているのかをシンプルかつ的確に表している、非常にすぐれたモデルです。顧客は、AISASの導線で商品やサービスを選び、購入を決定するわけですが、とくにSearch(検索エンジンを使ってほしい商品・サービスを探し、比較検討する)、Share(ネット上の掲示板やブログなどにレビューを書き込み、情報を共有する)という部分がミソで、ネットならではの部分です。

つまり売り手は、AISASを踏まえて、顧客の買い方のプロセスに合わせ、その願番で販売のプロセスを組み立てて売る、という方法が有効なマーケティング戦略となるのです。その場合、ターゲットになる顧客がAISASのどのレベルかによって、アプローチの仕方が違ってきます。AISASのレベルによって、顧客のニーズが違うからです。

例えば、当社の場合なら、主なターゲットは中小企業の経営者や管理職の人たちです。その中でも、営業に関する問題を抱えている人々にアプローチをしたいと考えています。今、当社のホームページを見ている3人の中小企業経営者がいると仮定します。1人はグーグルで検索して当社のホームページを初めて目にする入、もう1人は過去にセミナーに参加をして興味を持った人、もう1人はすでに何度かホームページを訪れていて、他社と比較検討をしようと思っている人。この3人はそれぞれ別のAISASレベルにいることが理解できるでしょうか。

1人目はAttention、2人目はInterest、3人目はSearchです。この3人に当社のサービスをさらに理解して気に入ってもらい、最終的に契約に到達するには、それぞれがAISASの次のレベルへ進んで行くためのコンテンツを用意しなければなりません。

例えば1人目なら、当社のサービスのシステムを動画で説明したコンテンツ、「プロセスマネージメント力診断テスト」など気楽に当社のサービスを知ってもらうコンテンツを作り、さらにセミナーの案内も掲載してInterestにつなげます。2人目はより深く当相のサービスを理解してもらうメルマガやステップメール、実際に利用した顧客の声などのコンテンツを作り、検討するための材料をSearchしてもらいます。3人目はあと一押しの状態ですので、営業マンが商談するのが最も効果的でしょう。問い合わせ先を目立つように掲載します。

このようにホームページは多くの顧客を取り込めるような複数の仕掛け、「反応装置」が必要なのです。企業の商品やサービスの大まかな説明を載せ、問い合わせ先を大きく作っておいてもAttentionのスキップにいる人はそこまでしたいとまでは思いません。

Actionに至るまで、あと2つのステップが必要なのです。

「会員様のページ」「ユーザーIDをお持ちの方はこちらへ」というボタンがあるホームページを見かけたことがあるでしょう。これもAISASレベルの違う顧客を振り分けて情報を提供する工夫の1つです。また、「さらに詳しく知りたい人はここをクリック」というボタンを付けて顧客を誘導する手法も、AISASを知った上での仕掛けです。顧客は、それぞれの興味の度合いに応じて反応装置をクリックし、情報を獲得していきます。

顧客のニーズに合わせた情報提供のしくみを工夫すれば、ホームページが営業プロセスの中で重要な役目を果たし、「儲かるしくみの〈完全制覇〉4ステップ」を実現できるのです。ホームページを見ているターゲットに、「まさに私が求めていた商品だ」と確信させることができたら、売れるホームページに生まれ変われたのだといえます。

工藤龍矢書籍『グーグル営業』より抜粋

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