営業プ口セスで社内の屋台骨をしっかりと作る

エクセルさんは当時営業マンを20人ほど抱えていたので、顧客数は相当な数がありました。私はその中から「今すぐ客」を見つける営業プロセスを考えました。今まで名刺交換をしただけの人も大勢いるはずです。今までまったく’交流のない人たちを一から開拓するより、一度でも接点を持った人からコンバージョンを導く方が、労力はかからないでしょう。

そこで、営業マンが集めた名刺をもとにリストを作ってもらいました。2年間分の名刺の数は、なんと5千通。膨大な数の「見込み容」 です。リストに載せた顧客に、一斉にメルマガを送るのが次のステップです。そのタイミングは、新しいホームページができあがったときがいいだろうと判断しました。

課題はネット面だけではありません。今まで既存客相手に対処してきた営業マンが、新規の顧客を開拓するだけのノウハウを持っているのか、新規の顧客が増えたときに対応できる体制が社内に整っているのか、などのいわゆるハード面でもさまざまな不安を抱えていたのです。

そこで、顧客からの問い合わせは1つの窓口でまとめて、そこで一顧客をAランク、Bランク、Cランクの3つに分けるというシステムを整えました。Aランク、日ランク、Cランクとは、当社が提唱している今すぐ客、見込み客、冷やかし客に当てはまります。

Aランクは自社で製造可能なケース、Bランクは製造対応はできないけれど、供給は可能なもの、または自社で製造可能な製品に関する問い合わせのケース。Cランクは対応不可能なもの、製造不可能な製品についての問い合わせのケースとなります。Bランクは、今すぐ欲しいというニーズはないけれども、いつか契約に至る可能性を秘めているので、定期的に顧客のところに足を運ぶような対策をとり、しっかりと追うようにしました。

Cランクのように、対応不可能な問い合わせをしてきたケースは、今後の取引も難しいだろうと判断し、対応をしないことになっています。このように、顧客を分類して営業の優先度を決めておくと、営業マンが顧客を獲得するためにやみくもに走り回るような事態を避けられます。すべての顧客に対して同じように対応しなくてすむため、営業マンの負担が削滅され、なおかつ効率的な営業を展開できるのです。

 

ホームページとキーワードを徹底的に見直す

全体のプロセスを組み立てた後は、細部の調整です。ホームページは全体的に改善する必要がありました。そこで、エクセルさんの持っている技術・商品の強みを整現し、いかに分かりゃすく見せるかという点に集中しました。

まずは、商品を材料名、使用用途、硬度、引っ張り強さ、材料特性の5つから検索できるようにしました。これで特定の材料を欲しい人も、「こんな部分で使える金属はないか」と探している人も囲い込めるようになります。もちろん、商品ごとの紹介も大切です。グーグル・アナリティクスで分析した結果、顧客がグーグルやヤフーで検索するときは、金属名を入力しているということが分かりました。その結果、商品紹介ページがランディング(着地)ページになるため、1つ1つの商品ごとに特徴、用途、エクセルきんで製造できる範囲のグラフなど、顧客が購入する際に必要となる情報をすべて盛り込みました。こうすれば、商品ページを1つ見ただけでコンバージョンに導けるような導線を整えられます。

また、金属材料のことが一目で分かる小冊子を無料で配布するというお知らせを、トップページの日立つ部分に場所に作りました。金属加工を発注してくる人は、材料表を見ながら発注したいというニーズを持っています。材料表を無料で配布すると、何か材料が必要になったときにその資料を見ながらエクセルさんに発注する可能性が高くなります。エクセルさんは顧客も製造業が多いので、顧客のニーズを的確に分析した結果出てきたアイデアでした。

同時に、SEOやキーワード広告にも徹底的に取り組みました。エクセルさんは以前からヤフー・ビジネスエクスプレスへも登録もしていましたが、ホームページからの問い合わせは月に1回あるかないかという状況で、まったく功を奏していませんでした。

そこで、まずはキーワードの洗い出しです。エクセルさんの場合、なんと検索キーワード数は3000種以上にも及びました。最初は、「金属材料」 などの一般的なキーワードで検索する人が多いと予測していたのですが、実際には「SPCC」「SUS631」といった金属材料名で検索する人が多かったのです。また、金属材料名+硬度や加工方法、引っ張り強度という組み合わせで検索しているパターンも多いのも特徴でした。

そこで、1000個以上のキーワードを洗い出し、各商品の紹介ページにJIS規格での型番名を入れたり、硬度や強度の一覧表を入れたりするなどの工夫をしました。また、「オビワンコート」のようなエクセルさんで付けた商品名で検索する人は少ないという点も判明しました。オビワンコートの前に「塗装銅帯」と入れたところ、結果的に一気にヒット数が上がったのです。地道な作業ではありますが、こういった小さな改善が「儲かるホームページ」作りには必要なのです。

 

工藤龍矢書籍『グーグル営業』より抜粋

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